COLUMN
<「脳を鍛える」人生は65歳からが面白い> 川島隆太著
「仕事が一段落した65歳。これからの新たな人生の計画を立てよう」
「ようやくゆっくりできる。しばらく何も考えたくない。のんびりしよう」
どちらの思いがよぎりますか?平均寿命は男性約81歳、女性は87歳です。
65歳からだと残り時間は平均15年以上ある。そう考えたときアクティブに第2の人生に舵を切っても、ゆっくりと心身を休めるかどちらの道を行ってもよさそうですね。但し「健康寿命」いわゆる介護状態にならずに過ごせる年齢はというと男性は73歳、女性は75歳と言われています。65歳のリスタートからだとするとあと8年かと現実を突きつけられたように感じました。
<「科学がつきとめた運のいい人」>中野信子著(2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了の脳科学者、医学博士)
どうしたら運はよくなるのか?どういう人が運を味方にできるのか?を科学的にアプローチした本です。流石に脳科学者だけのことはあると感心したのですが。
人の脳にはそれぞれ特徴があり、それぞれの人の個性を作っている部分が多い。私たちの脳にはセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなど私たちの情動に働きかけ、気持ちを動かす伝達物質ですがこの量には個人差がある。セロトニンは脳の過剰な覚醒や活動を抑える働きがあり、安心感、安定感、落ち着きをもたらしてくれる。ドーパミンは「やる気」のもととなり、私たちが何か行動を起こす際のモチベーションを高める働きがある。ノルアドレナリンは、集中力を高めてくれる働きがある。どれも人が健康で生きていくうえで欠かせない物質ですが、増えすぎると脳と体に悪影響も与えるため、脳には更にモノアミン酸化酵素というこれらを分解する物質もあるということで、この酵素の分解の度合いには遺伝的な個人差があり脳の個性を生みだしているのだそうです。
この分解の度合いが低いタイプの脳は、幸福感を感じやすい脳でセロトニンが多いため不安感がなくなるのだそうです。ただし、低いことがいいことばかりではなく、不安感は逆に言うと、先を見通す力、将来を考える力の源でもあり、セロトニンの分泌量が多すぎると、先のことを考えないので「いまがよければよい」という、極端には攻撃的になったり反社会的行動にもつながりかねないのだそうです。
いずれにしても、自分の脳には個性があることを理解し、プラスの要素とマイナスの要素も自分の資質として生かしていく努力あと8年は続けたいと感じました。